カタログやショッピングサイトの撮影では、1カットごと(または1商品ごと)の撮影または、時間制で料金がチャージされる時間制撮影のどちらかを選ぶ形が増えています。
気になる時間制サービスですが、はたしてどんな点が商品ごとの撮影と異なるのでしょうか。今回は、その違いについて説明していきたいと思います。
時間制撮影サービスとは?
まず「時間制撮影サービス」とは、撮影料金が1時間ごとにチャージされる仕組みの撮影外注サービスです。同料金の中には、ストロボなどのライティング機材が含まれるほか、スタジオの使用料金、アシスタントの費用もすべて含まれています。
また、撮影スタジオによっては、背景として使用するバック紙(白やグレーのほか、黒やブルーなど)、布、小物が多数準備されているところもあります。
こうした備品類は、基本料金に込みのものと、別途費用が発生するものに分かれますので、撮影を依頼する際、事前に確認しておくことをおすすめします。
時間制撮影サービスと郵送&預かり撮影の違い
最近、EC撮影などで多く見られる商品を郵送で預かって撮影するサービス(多くが1商品ごとの撮影料設定)と、時間制撮影のサービスは、いったいどの点が大きく異なるのでしょうか。
一番大きな差としては、作業工程を見れるか見れないか、つまり立ち合いができるかどうか、という点が挙げられるでしょう。
おもに郵送のみで仕事を受け付けている撮影業者の場合、それほどスキルの高くないスタッフが同じセットを組み、流れ作業的に撮影をしていることも多く、クライアントは立ち合いをすることができません。
仕上がりを見るまでは、どのような写真が上がってくるかわからず、細かい指示ができない可能性もあります。
時間制撮影コースを利用すべき?
時間制撮影の場合、クライアントが現場で撮影中の状況を確認することができるため、ライティングや商品の見せ方の工夫など、明らかに技術的な差があることがわかります。
予算的な制約があって難しいケースもあるかと思いますが、もし費用面で余裕がある場合、最初の撮影に関してはできるだけ時間制撮影サービスをご利用いただくことをおすすめします。
ただ、商品点数が数十点〜数百点になると、どれほど効率よく進めても十時間以上(日数を分けて場合、数日間)かかってしまいますので、その間ずっと立ち合いをすることは現実的に難しい…というケースも増えます。
カタログ写真のような重要な撮影でない限り、商品点数が多い場合、郵送で受付しているサービスを検討いただいた方がいいといえるでしょう。
時間制撮影コースのメリットは…やはりクオリティ!
「時間制撮影コース」におけるメリットは、前項で触れた立ち合い可能なことに加え、 郵送受付での撮影サービスに比べ、細かいライティングの調整ができるため、特に表面に写り込みが激しい反射する素材のボトルや缶、工業製品、化粧品などは、時間制コースをおすすめします。
また、アパレル業界などで、得にブランドのイメージを優先し、商品のクオリティをなるべくあげたいというお客様も時間制コースをおすすめします。
細かいしわの出方や置き方など、ブランドの雰囲気を引き立てるようなライティングの調整も可能です。
イメージカットやパッケージ写真は時間制コースを利用!
ECショッピングサイトに掲載する白バックの写真だけでなく、背景を生かして雰囲気を演出したり、背景にドラマチックな光の効果を加えた撮影を行ったりするイメージカットの撮影は、断然時間制の方がクオリティの高い撮影ができます。
特に、クライアントから求められる要望に仕上がりをできるだけ近づけ、さらに120点以上の評価をいただくことを目指すのが、プロのフォトグラファーとしての仕事の醍醐味だと思います。
また、スタジオ内だけでなく、近隣の屋外で自然光を利用した撮影を行いたい、という場合、時間制であればスタジオ内と外ロケ、両方の雰囲気で撮影を実施することができます。
パッケージに使用する写真などでも時間制撮影は便利です。
従来は数十万円の費用がかかっていた撮影ですが、時間制を利用することで安価に撮影できる機会が得られます。
時間制撮影コース、そのほかのメリット
時々、弊社に寄せられる要望としては「時間内で担当者の写真も撮ってもらえないか」といったものがあります。
当然、そのほかの撮影を早めに終わらせ、機材のセットを変更して撮影を行うということも可能ですが、他社でも同様の対応を行っている場合がありますので、気になる方はぜひ積極的におたずねいただくとよいでしょう。
レタッチ費用が別途発生するかどうかを確認
1点、時間制撮影と切っても切り離せない要素として、レタッチ(画像の修正)があります。
費用が安価なスタジオの場合、画像のレタッチはオプション(別途見積もり)となっている場合が多いので、事前に確認が必要です。
ちなみに弊社スタジオは、撮影後に専用のソフトで色調整をしっかりと行い、納品します。
この時点である程度の調整は行うのですが、さらにどうしても撮影時に避けられなかった写り込みの除去や、商品そのものに最初から付いていたキズなど、避けがたいものに関して、撮影後にレタッチを行うかどうかご相談しています。
別途費用が発生するかどうか、修正が必要かどうかも撮影時にすり合わせできれば、納品時にはより品質の高い写真に仕上げることが可能となるからです。
時間制コースの魅力的な写真で、他社との差別化を図る
今回は、時間制撮影コースでできることや、そのメリットについてご説明しました。
今後もオンラインを中心とした撮影需要がますます増加し、同じような写真が楽天やAmazon、楽天、Yahoo!ショッピングといった大手サイトのサービスに増えてくるとなると、「魅力的な写真を用いて、どうやって他社との差別化を図っていくか」が、商品を販売していく上でカギになってくることは間違いないでしょう。
もちろん、限られた予算をどう振り分けるかは重要な問題ですので、安価なサービスを利用しつつ、予算が確保できれば時間制で品質の高い写真を撮影するなど、うまく撮影サービスを使い分けながら、御社商品のPRにつなげていただければと思います。