ECショッピングサイトからカタログまで、格安での撮影実施を希望される方々にとって予算管理は頭の痛い問題です。とはいえ「格安」だけにこだわりすぎて、あまりにも撮影のクオリティが下がりすぎてしまっては、本末転倒であるともいえます。
今回は、時々お客様から寄せられる「格安商品撮影から次のステップを目指すには?」というご相談について、お答えしたいと思います。
格安商品撮影サービスとは?
すでにオンラインサイトやランディングページ(または商品カタログ)を運用中、またはこれから立ち上げようとされる企業のみなさまの多くにとって、どのように商品撮影の準備を進めていくべきかは非常に重要な問題でしょう。
インターネットで検索すると、多くの撮影サービス業社が検索結果に出てきますが、中には1カットあたり160円など、1カット200円を大幅に下回るところもあるようです。
弊社がプロ撮影スタジオとして、オンライン上で撮影サービスをスタートして以降、新規で参入している撮影事業者をいくつも見ていますが、格安という看板を掲げていてもあまりサービス自体が長続きせず、撤退してしまうところも多いようです。
格安商品撮影サービス利用時における注意点
当然のことかもしれませんが、単価があまりに安価すぎると機材や人材に対する投資がままなならず、事業としても継続できなくなってしまうという可能性が考えられます。
また、格安撮影事業者の一部は、母体がWEBサイトの運営やロジスティックス、デザインなど、撮影を本業としていない企業であることも多いようです。
難しい技術に関するノウハウがなく、アルバイトのスタッフが流れ作業的に撮影を行うサービス業者の場合、当然のことながら撮影=ビジネスとして割り切ったコスト管理を行わざるを得ず、「クライアントの立場に立ってクオリティの高い写真を撮影する」というよりも、1商品あたりをいかに効率よくさばくかを重視しているケースが多いのではないでしょうか。(もちろん一般論ですので、そうではない会社もあると思います)
格安商品撮影において、陥りやすい問題は?
格安撮影におけるもう1つの問題点としては、同じような写真を効率的に撮ることにはメリットがあったとしても、どうしても競合他社と似たような内容になりがちであることです。
すでに先行した企業が大きなシェアを持っている状況下では、同じような品質の写真を掲載するだけではなかなか売上を伸ばすことが難しい場合が出てきてしまいます。
上記に述べた商品撮影費用と同じで、「1円でも安い」ことだけが御社商品のメリットになってしまうとしたら…。厳しい状況が続いてしまうことは想像ができるでしょう。
格安商品撮影から、次のステップへ
もちろん、ブランドやショップの立ち上げ初期に大量の撮影を行わないといけない場合や、撮影の方向性が明確に決まっている場合などに、ある程度の予算を抑えることは重要でしょう。
ただ、その次の過程としては、商品の魅力を引き立てるような「イメージカット」や「モデルカット」を少しずつ増やしたり、白バックの商品撮影だけでない、スタジオ撮影ならではの高級感を引き出す撮影(弊社の場合は時間制にて対応)に少しずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
商品本来の魅力に加え、ブランディングを行うことで、御社商品の価値をさらに高めることが可能になるはずです。
格安商品撮影だけじゃない?参考にしたい他社事例
ここで1つ、ある企業の事例をご紹介しましょう。
A社は、ストックフォト(写真を預けて、販売する)業界で、スタート時点では他社よりも安い費用(マイクロストックフォト)を掲げた新興企業として、発足から注目を集めました。
同社は「写真素材を安価に取り扱うサービス」として人気が出たものの、多くの業界関係者は「どうせ安売りだから長続きしないだろう」と、その存続性に懐疑的でした。
たしかにA社の場合、設立当初は「コンテンツをいかに増やすか」に注力していたため、あまり写真の品質が高いとは言えませんでした。
ただ、一定数のコンテンツ量が増やしたあと、A社は企業努力によって写真のクオリティを上げ、「安価で利用しやすいサービス」を構築。
また同時に、価格的にも1枚あたりの単価を「それなりに安価な金額」に抑えることによって、業界内で一定のシェアを獲得することに成功しました。
当時、A社よりもさらに安価な費用を掲げるサービスが次々と生まれましたが、現在そのほとんどはなくなってしまいました。
格安商品撮影からのステップアップで、他社との差別化を
前項にあげたA社の例はあくまでも一例ですので、すべての業界に当てはまるかどうかはわかりません。
ですが、御社商品やサービスの魅力をいかに伝えるかは、大変重要な問題であると言えるでしょう。競合他社との差別化を実現し、マーケットにおける優位性を確立するためには、ビジュアル=写真を含めた効果的なプロモーション戦略が不可欠なことは、間違いありません。