料理・フード写真に求められる要素として、定番として用いられるストロボ光を中心としながら、いかにアクセントを加えて、見る人の興味を掻き立てるかは、重要なポイントとなります。今回は制作会社、メーカー担当者様向けの「サイド光」を使った印象度アップ手法について、ご説明したいと思います。
料理・フード写真ライティングの基礎について
まず、料理撮影のキホンについて。通常、一般的には1灯ライティングといって逆光気味の光をナナメ上から当てて、メインとなる光を演出します。フォトグラファーが知っている大事な知識の1つとして知られているのは「太陽はひとつ」ということ。ファッション写真などでは複数の複雑な光を組み合わせて撮影することもあるのですが、料理・フード写真のセオリーとしては、見た人に明らかな違和感を感じさせないことが重要となります。
もちろん、ストロボ光は1灯だけでなく、場合によってはサブライト(補助光)をプラスし、必要な光を補っていきます。
特に、深ぶりの食器では、撮影台(またはランチョンマット)と食器の間に影が出てしまうこともありますので、慎重にライティングを組んでいきます。
実際の撮影現場では、撮影したイメージがクライアント様の要望と異なることもありますので、料理や食器によって迅速にセット替えができるかどうかも、プロフォトグラファーの引き出しの多さ、腕の見せ所になります。
「サイド光」で料理・フードの印象度をアップ
さて、ここからは気になる「サイド光」についての効果を解説していきましょう。主に、撮影時に求められる光源のセットはフラットな光(柔らかい光)であることが多いのですが、近年、欧米のメニュー写真のように、コントラストが強く、ドラマチックなライティングが求められるケースも増えています。
つまり、定番のライティングで撮った写真も大事ではあるのですが、競合の商品と比べた時に、どうしてもインパクトが弱くなってしまう、ということもあり得るからです。
そうした場合、サイド光をうまく使うことによって陰影を演出し、印象的な写真に仕上げることができます。
ただ、食器の種類(ガラスなどの透過光になってしまう素材や、表面が特に光を反射する素材など)はライティングのバリエーションが限られてしまう場合もありますので、担当フォトグラファーにあらかじめ、確認していただいた方がよろしいかと思います。
カメラアングルにも注意が必要
光の方向性がある写真だと、カメラ位置を変更すると、影の出方が大きく変わることがあります。その場合、ライティングの変更を行う必要が出てくる可能性があるため、注意が必要です。撮影時間の押し巻きを考え、盛り付けや調理にどれくらいの時間がかかるのか、フード・コーディネーターやフード・スタイリストを起用した撮影ではスタッフ間がうまく連携してスムーズに撮影を進める撮影があるといえるでしょう。
このように、オーソッドクスな定番の光をうまく使いながら、さまざまなバリエーションで撮影に変化をつけることも料理の魅力をアップさせるためには重要です。弊社スタジオでも、他社にはないライティング機材をいろいろ取り揃え、随時追加するようにしています。
消費者に刺さる「印象的なイメージ」を提案しましょう
消費者の目線はいつも「半歩先」を行っています。2、3歩先を行き過ぎてはダメですし、あまりに定番過ぎても競合としての差別化ができずに難しい…というのは、いつの時代も悩ましい問題です。パッケージやグランドメニューの撮影ではなかなか冒険できないということも多いかもしれませんが、ECサイト、インタグラムなどのSNSに掲載する写真では異なるイメージを提案、という風にチャンネルを使い分けることも大切かと思います。ぜひ印象的な写真を駆使し、御社商品の魅力にもう1つプラスの要素を加えてください。