近年、各撮影スタジオで増えている「時間制モデル撮影コース」ですが、その背景にはオンラインショッピングやカタログ撮影を中心とした撮影需要の増加があります。
それなりの費用単価が発生する撮影のため、いったいどんなことができるの?メリットは?といった質問が弊社にも寄せられます。
今回は、この「時間制モデル撮影コース」について、解説させていただきたいと思います。
モデル撮影の時間制コースについての基本知識
まずは基本から。「時間制コース」は、おもに1時間ごとに撮影料金がカウントされる方式の撮影サービスであり、撮影料金(カメラマンのギャランティ)をはじめ、ストロボなどの照明機材費、スタジオの使用料まですべてパッケージされているプランになります。特にモデル撮影の時間コースは、モデルのギャランティまで含まれているため、お得なプランになっています。
また、撮影時の小道具(スツールや植物など)も同料金に含まれており、無料で使用できる場合があります。スタジオによっては、靴や一部衣装(トップスやボトムスなど)の貸し出しを行っている場所もありますので、打ち合わせ時に確認していただいた方がよいでしょう。
既存の撮影サービスと異なる、時間制モデル撮影サービスの利点
従来の撮影では、撮影をプロのフォトグラファー、モデルはモデル事務所と別々に手配する必要がありました。ただ近年、ECショッピングサイトを中心とした撮影でモデル撮影が急増したことから、モデルをセットでキャスティングできる撮影コースが増えています。
メリットとしては、別々に手配する手間が減ることと、コスト的にも安価になることです。
モデル事務所にモデル手配を行なった場合はそれなりの費用がかかりますが、すべてがパッケージされたプランだとそのぶんのコストを下げることが可能になります。
モデル事務所にキャスティングを依頼した場合の費用感は?
ちなみに、モデル事務所に撮影モデルの手配を行なった場合、通常は1回の撮影につき、数万円の費用がかかります。また、試用期間の制限があることが一般的なので、一定期間後にはサイトから写真を削除する必要があります。使用期間によって費用が変動しますので、各モデル事務所には、事前に確認していただいた方がいいでしょう。
メリットは、予算さえあれば多くの事務所を比較してイメージに合うモデルをキャスティングできることです。
弊社でも自社所属のモデルは多数おりますが、外部事務所のモデルを手配したい、というご要望のお客様には、別途リストを提示させていただいています。
どんな分野の商品がモデル撮影に向いている?
アパレル業界だけでなく、健康関連や美容関連は、モデル撮影の需要が大きいです。また、「自社サービスをPRするためのバナーや看板に清楚なモデルのイメージを使用したい」という要望から、モデル撮影の依頼をいただくこともあります。
モデルが着用しないと商品のイメージが湧きにくい商品に関しては、ご相談を頂戴することが多いほか、料理プラス、主婦の方の生活イメージを撮りたい、といった要望もあります。
服飾関連では、特に体のラインを見せる必要がある商品(ヨガウェアなど)や、水着、下着といった撮影では、根強いモデル撮影の需要があります。ただし、水着や下着の撮影に対応できるモデルは少なくなってしまうため、事前の確認が必要です。(体型や食事の管理もあるため、1週間前には撮影時を確定されることをおすすめします)
そのほかに、モデル撮影に向いたジャンルとは?
前項に上げた以外にも、あらゆる分野の商品がモデル撮影に向いているといえるでしょう。
ここ数年で特に多くの企業がオンラインショッピング事業に参入する機会が増えたこともあり、ネット上には似たような商品写真があふれています。特にメーカーからの支給画像を使用するだけでは、どのショップも送料を含めた価格競争になってしまい、消耗してしまう可能性が高くなります。(価格競争力のある企業のみが生き残れる形になります)
今後は、いかに自社製品の魅力を高め、ブランディングしていくかが大きな課題になることは間違いありません。
時間制モデル撮影に追加費用が発生する場合
外国人やハーフモデルを起用する際には、費用が上がるケースがあります。シニアなど、高年齢のモデルも同様です。いずれも希少性があること、それぞれ一定の需要がある(外国人モデルはアパレル業界で人気があり、シニアモデルはヘルスケア分野などで幅広い要望があります)ことから、費用感は少し高くなります。
また、外部事務所にキャスティングを依頼したり、SNSで影響力のあるインフルエンサーにモデル+情報発信を依頼したりする場合は、さらにコストが上がってきます。(人気=宣伝効果につながるため)
時間制モデル撮影コース選びの注意点は?
一般論として、モデル撮影を中心に掲げているプロの撮影スタジオは格安の商品撮影サービス業者と異なり、モデルキャスティングから撮影技術、進行管理にいたるまでさまざまなノウハウが必要となります。そのため、プロカメラマンが運営しているスタジオであれば、一定のクオリティは望めると思います。
注意すべきなのは、最近ではキャスティング会社やモデル事務所など、ライティングの知識やモデル撮影の技術がそれほどない企業が撮影サービスを行なっているケースが増えていることです。こうした企業は本来、広告や各種メディアにモデルを貸し出す業務が本業のため、あくまでもモデルキャスティングが主で撮影技術はそれほど高くない、というのが現実です。
モデル撮影サービスの費用対効果
今回は、最近問い合わせが増えているモデル撮影について解説しました。単純な白バック撮影に比べ、一見すると撮影費用は高くなりがちですが、ロングテールでの費用対効果を考えると、モデル撮影にはやはり大きな魅力があります。
上記にご紹介したさまざまな要素を念頭に入れた上で、各社のモデル撮影サービスを比較検討していただければと思います。